「……、ウソだろう?」
(これから、あそこ登んの・・・?)
そうか、あれがウワサの『Z坂』!
(ちょっと、ちょっと~、その名の通り、山肌にZ形をした上り坂が見えるんですけど~。)
恐ろしや~。
この頃になると疲労もピークにきており、息子は携帯から「ねぇ、まだぁ??」
やばい!
このままのペースでは、13:30までに2人とも両津に着けない。
「もう待たなくていいから、どんどん先に行けや~っ!」
(骨は拾ってやるぜ!)
皮肉なことに…
つらい道のりであればあるほど、景色がいい!
(しかし、堪能する余裕は、もうすでに無し・・・。)
それにしても・・・
体力の消耗とともに、明らかになっていく事実。
この『ミニベロ』・・・
漕いでも漕いでも進まんし、重いんですけど?。
(っていうか、『自分エンジン』もう爆発寸前…)
あぁ…
もし①、ちゃんとしたロードに乗っていたら・・・。
(と、自分のトレーニング不足を、道具のせいにする嫌な大人。)
もし②、前日にコースの下見をしていたら・・・。
(島の外周つまり沿岸沿いって、平坦な道がひたすら続いているものと思い込んでいた。⇒ 楽勝だねって!)
(だいたいが、前日、のん気に『トキ』を見に行ったり、お茶している場合じゃなかった。)
もし③、『Z坂』の存在を知っていたら・・・。
(前日、息子が『Z坂』を検索していたのに、「家族でいる時に、スマホ見てんじゃねぇ!」と一喝した。)
(そもそも、山に登るなんて、思ってもみなかった。)
もし④、ASであんなに時間を費やさなかったら・・・。
(律儀にその都度、飲んで食って、おまけに行列に並んでまで『蕎麦』なんて食っている場合じゃなかった。)
(さらに、のん気に『歌』なんて歌っている場合じゃなかった。)
もし⑤、重装備じゃなかったら・・・。
(2人分の食料から着替え、パンク修理道具一式、地図、あれもこれも・・・)
(よって、背負っているものが多い分、重い、暑い! ⇒ 疲れる!)
薄れゆく意識の中…
小学生の時に習った『道のり=速さ×時間』を思い出しました。
(サイクルメーターがないので時速はわかりませんが)どうひいき目に計算しても、明らかに両津には間に合わない。
♪だのに?な?ぜ?♪…
「おいら…、何でリタイヤもせずに、必死に漕ぎつづけているんだろう?」
それはきっと・・・
「一秒でも長く、佐渡の風を感じていたいからさ!」
なーんちゃって、本心は…
「これ、一体どうやって終わらせたらいいんだろう…?」と、自分でも踏ん切りがつかなかったんだ・・・(笑)
程なくして…
私は収容車に拾われることになるのでした…。
(拾われた所に『スタートから90km』の看板が出ていたから、ゴールまであと10km…)
つづく…